ハープ屋ぶろぐ LINKS WEB

世界各国のハープ界の情報から工場裏のフキノトウのお話まで
様々なハープ(?)情報を
日本唯一のハープ専門メーカーよりお届けいたします

2017年4月25日火曜日

弦についての悩ましい問題

ハープに少しでも親しまれたことのある方ならどなたでも、「弦が切れて・・・」の一言で、「うんうん」「そうそう」とご同意いただけるのでは、というくらい、ハープ奏者にとって弦が切れることは身近なことです。
熱心に練習をしてほころびかけていた弦であればまだ納得できるのですが、それほど使用頻度も高くない弦が、何もしていないときに切れたりすると、「切れない素材で作られた弦ってないのかしら」と誰しも思うもの。

さてここで、弦が切れる原因、そして「もしも弦が切れなかったら」を考えてみましょう。
弦の音程が狂ったり切れたりするのは、弦の素材が温度・湿度の変化で伸び縮みすることだけでなく、楽器のその他の部分が伸び縮みすることで、“相対的に”弦が長くなったり、短くなったりすることでもあります。
楽器を構成するすべてのパーツと弦と同じ収縮率で伸び縮みすればよいのでしょうが、そんな性質を持ち、十分な強度があり、しかも「音がよい」材料は今のところ見つかっていません。
とすれば、ハープを構成するうち一番取り替えやすく、ほどほどに安価な部分が「壊れる」ことによって、より高価で取り替えにくい部分が破損しないように守らなければならない。
それが「何もしていないのに弦が切れる」ことなのです。
もし弦が全く切れなければ、楽器本体に大きなダメージを被ってしまうのですから。

・・・・とはいえ、これからの季節、高価なガット弦を次から次へと取り替えなければならなくなります。プロハーピストさんならともかく、予算も限られ、練習環境も整わないことが多い学校・学生さんには、弦が切れる度にお財布に痛く、心臓にも悪いのは事実です。
そこそこ安価で、音がよく、そして「必要なときにはちゃんと切れてくれる」弦。
ハープを普及させていく上での大きな課題の一つです。